「亡き一人娘からの手紙」
N夫妻の一人娘、K子さんが病魔に勝てず、二十二歳の若さでこの世を去ってから半年になるが、両親の涙は止まらない。日に日に深まりゆく失意・・・。夫妻は対話を重ねるが、いつも最後は長い沈黙の時が流れていくばかりだ。
時折、深いため息とともに口にする言葉は、自責の思いの数々。母が・・・。
「高校を卒業したとき、イギリスに留学したいと訴えたのですが、許しませんでした。一人娘で心配だったものですから・・・。こんなことなら行かせてやればよかった」
思い出はK子さんが小学校の頃まで遡る。父が・・・。
「あの子が小学生になった頃、ディズニーランドに連れて行ってと幾度もせがまれましたが、その頃、私たちは共働きの生活で忙しかった。K子が駄々をこねて、コップを床に投げつけたんです。そこで私、バシッと手をあげてしまいました。きっと私を恨んでいたに違いありません」
ある日、二人がつぶやくように告げた。「私たち、あの子がいないこの世で生きている意味が見つからないのです」・・・。こんな気持ちの日々を過ごしていたある日のこと、予想だにしなかったことが起きたのでした。
なんと、亡きK子さんから、両親にあてた手紙が届いたのだ・・・。
「お父さん、お母さん、驚かせてごめんなさい。実は、私が死んで半年以上過ぎた頃、ポストに入れてほしいと友達に頼んでおいたのです。お父さん、お母さん、長い間心配かけてすみませんでした。二十二歳の今日までかわいがっていただいて本当にありがとうございました。
私はもうすぐ旅立ちます。ガンに負けてわずか二十二年間の人生を終えるのはすごくくやしいけれど、でもお父さん、お母さん、心配しないで!私はとても幸せでしたから思い残すことはありません。いいえ、楽しかった思い出はたくさんあるから満足して旅立てるのです。
お父さん、お母さん、私、先に行くけど、待っているからね。でも、お父さん、お母さん、ゆっくりでいいの。この世で充分に生きて、ゆっくりでいいから必ず会いに来てね。
泣かないでください。悲しまないで・・・。私、本当に幸せだったし、大好きなお父さん、お母さんにまた会えることを信じているから・・・。そう!私はお彼岸にもお盆にも必ず帰るから、私の大好きなクリームシチューを作って待っててね。
ありがとう、お父さん。ありがとう、お母さん。私、先に旅立ちます。花嫁姿を見せられなくてごめんなさい。 K子より」
手紙を見ながらN夫妻が号泣している。「この世で充分に生きて、たくさんの思い出を作って、K子のところへ行きます。私、クリームシチュー作りの腕を磨いておきますね」と母が語った。
亡き人々が帰って来る「お盆」が近い。
~「みんなに読んでほしい本当の話」より~
娘を早くに亡くし、悲しみに暮れるご両親。 そんなご両親の悲しみを思いながら、手紙を先に書いておくやさしい娘さん。
涙が出てきました。 両親より少しでも長く生きて、ちゃんとお礼を言ってお別れをしたいものです。
その為にも、自分や家族が、健康で長生きしないと、充分に生きることも、良い思い出を作ることもできませんよね。
なによりも、健康が一番だと思います。